ABSはラッカーで塗装できるのか論争 2026-04-06
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たびたび目にするこの話題
「ABSはラッカーで塗装できる・できない」系のポストがいくつか目につきまして。
塗装派モデラーの間でたびたび話題に上がりますよね、これ。
せっかくの機会なので、個人的な考えとか対策的なものを綴っておこうと思います。
たしかにABS樹脂は溶剤に弱く、場合によってはひび割れたり溶解するのは確かです。
よく「割れた」なんて表現しますよね。
私も失敗した塗装をうすめ液で落とそうとしてボロボロに砕けたことがあります…。
無茶しやがって…。
ABSはラッカーで塗装できまぁす!
じゃあやっぱりABSはラッカーで塗装できないじゃん、と言われれば、さにあらず。
そのパーツの大半がABSで構成される美少女プラモデル(主にコトブキヤ)を20体以上ラッカーで塗装してきた身から言わせていただくと、
ABSはラッカーで塗装できる
が、わたくしの持論です。
前述のとおり、うすめ液でパーツが砕けたことはありますが、塗装中に割れたことは一度もありません。
ホントだよ。
もちろん割れるリスクがないとは言いませんが、ちょっとしたコツを押さえることでその可能性を0に近づけることはできると考えます。
そもそもなぜ割れるのか
いろいろ調べてみた内容を自分なりにまとめてみると、こんな感じ。
うすめ液をはじめとする有機溶剤は樹脂の内部に浸透する性質があります。
特にABSの場合、パーツを組み立てた際に目に見えない亀裂(クラック)が入ります。そこに溶剤が浸透することで脆くなり、最終的には「割れ」てしまう、というメカニズムのようです。
特に関節系のパーツはハメ合わせと可動の都合で、よりクラックが入りやすいため「割れた」という声が多く見られるんでしょうね。
ABSだけでなく、PS樹脂(最近のバンダイはKPS?)にも浸透し、溶解します。
この性質を利用したのが、合わせ目消しなどで使われる「流し込み接着剤」ですね。
溶解した面と面を合わせ、溶剤が揮発すると硬化し接着される、というもの。
クラックが入りやすいABSのほうがより割れやすいって感じなんでしょうかね。
ABS割れ対策
ではどうすれば割らずに済むかというと、
ABSの表面を何かで覆ってしまえば良い
と考えます。
極論、ABSに溶剤が触れなければ割れることはないです、よね。
よく聞くのは塗装前に「プライマー」を吹き付ける、という手法です。
プライマーは、塗料の食いつきをよくするための接着剤のような役割を果たすのが本来の目的です。
ガイアノーツのマルチプライマーやミッチャクロン(中身は同じらしい)の名前が良く上がりますね。
ABSの表面を接着剤で覆ってしまうわけですから、対策としては一理あるのではと思います。
(プライマー程度では防げない的な説も見かけたこともありますが…)
ただし注意したいのは、このプライマーにも有機溶剤が含まれている、という点です。
「プライマーを吹けば大丈夫~」とドバっと吹き付けると、その時点で割れてしまう可能性があるわけですな。
これではいけませんね。
そこでもう一つ考えるのは、
溶剤がABSに触れている時間を限りなく短くする
ことです。
浸透よりも揮発の速度が早ければ割れずに済む説。
この仮説に基づくと、「乾燥が早い溶剤で希釈したサーフェイサーを吹き保護膜を作る」ことがABS割れへのベターな対策なのでは、と思っています。
もちろんリスク0にはなりませんが、自分自身はこの方法で塗装しています。
何を使っているか
具体的に何を使ってるかと申しますと、サフを希釈する溶剤にガイアノーツの「プロユースシンナー」を使用しています。
ガイアの公式サイトにて「強い溶剤」と紹介されており、いかにも割れやすそうな気がするかもしれませんが、その分揮発性が高く、乾燥が早いため溶剤がABSに触れている時間が短くなります。
サフもガイアのエヴォシリーズを使ってますが、なんでもよいと思います。
ドライブースは持っていませんが、吹いてから数分で軽く触れるくらいになります。
これで「溶剤がABSに触れる時間を短く」しつつ「ABSをサフで覆ってしまう」ってわけです。
いつもの手順としては、サフ:溶剤=1:1(~1.1)の割合で希釈し、最初は気持ち薄めに吹き付けます。
この時点で下地が透けていても気にしない。
それが少し乾いてから下地を隠蔽できるまで吹き付けて、完了。
あとは普通に塗装していきます。
乾燥が早い溶剤で希釈したサフで、薄い保護膜を作るイメージ。
通常の塗料でも良いかもしれませんが、個人的にサフは必ず吹きたい派なので。
プロユースシンナーの他、乾燥が早い溶剤としてはクレオスのMr.ラピッドうすめ液や藤倉応用化工のアクセルS#35/#70シンナーあたりでしょうか。(後者は知る人ぞ知るって感じですが)
フィニッシャーズのピュアシンナーがアクセルシンナーのOEMだと言われているとかいないとか。(真偽不明)
逆に乾燥が遅い溶剤(リターダーが添加されたタイプ。レベリングうすめ液やブラシマスター)は樹脂に触れている時間が長くなる分、割れるリスクが高まると思います。
こやつらは主にツヤを出すときに向いてる溶剤なので、サフなどの下地に使うのは避けたほうがよいでしょうね。
まとめ
とさか的ABS割れ対策をまとめると、
乾燥が早い溶剤とサフで保護膜を作る!
です。
一応ベースになっているのは、コトブキヤさんのサイトにある「ABSパーツに塗装したい!」の「保護膜を作る」という観点。
その保護膜をどうやって作るか。
コトブキヤさんは素早く複数回重ねてる=薄く吹き付ける=乾燥が早い
じゃあ最初から乾燥が早い溶剤使えばもっとよくね?
…といった具合。
塗装中に割れてしまったことがある方は、使っている溶剤(うすめ液)を見直して見るのもいいんじゃないかなーと思います。
が、「それでもやっぱり割れたんじゃが!」と言われても責任は負いかねますので、ごめんなさい。
ただ「ABSにラッカー=割れる」的な極論はちょっと見過ごし難く、じゃあワシやXに跋扈する凄腕美プラモデラーの方々の作品は一体なんなんじゃいと思った次第で。
もちろん、よりリスクの低い水性塗料などを検討するのも良いと思います。
でもねぇ…
ラッカー塗料はその諸々のリスクを代償に得られるメリットが多く、なかなか乗り換えれないんですよね…。
色数が多い。塗膜が綺麗で丈夫。希釈の許容範囲も比較的緩くて楽。
こんな記事書いておいてなんですが、最近は中東情勢からくるシンナーの品薄でちょっと先行きが不安だったり。
世界的には水性塗料への移行が進んでいることもあり、もうちょっと色数や使い勝手が改善されてくれればな~という思いもありつつ…
はーやく平和にな~れ。
ではまた。